●安養寺 建築探訪 

安養寺大仏殿

下関市市街地から山陽方面へ国道191号を進むと右手山側に安養寺大仏殿があります。

2024年の秋から川棚古民家リノベーション工事を進行していたので、ほぼ毎日通っていた道すがらふと山手側に目をやると土壁のような大きな壁の建物があることに気づきました。

しばらくはその建物を確認に行くチャンスがなかったのですが、現場も落ち着いてきた4月の初旬頃、やっとその建物を間近で見ることができました。

安養寺大仏殿

建物の両側面は版築グロックが積み上げたものが壁となっていて前面側の5枚程度はスリットが入ってます。すべてにスリットを入れるのではなく、前側の5枚だけ入れるスリットで動きが生まれ軽くなっているように感じます。

版築ブロックの明るくて落ち着く土の表情もこの里山の風景に溶け込んでいました。

建物の形自体はそそり立つ2枚の大きな壁に1枚の板のように見える鉄骨の屋根という構成で、田舎道を進んでいきなりこのフォルムを見たらびっくりしそうですが、版築ブロックの土の表情がそれをうまいこと周りの景色と調和してくれているように感じました。

建物の背面の壁は焼杉が貼ってあり、経年変化で色も落ちていましたが時の流れを感じられていい味となっていました。

・竣工は平成14年

・設計 隈研吾建築都市設計事務所

・左官監督 久住 章

左官の監督として久住さんの名前が書いてあったので、なるほどと思いました。

隈研吾と久住さんは共同でお仕事をされていて、最近ではテレビの企画でも一緒に仕事をされていたので。

実際の左官仕事は三隅町の福田左官さんがされているようで、こちらは土壁塗りなどの仕事もされているみたいです。